vol.57失恋願望

人から嫌われたくない。
そう思うあまり、
幸せから遠ざかろうと、
してしまう人がいる。

たとえば、
好きな人と別れてしまったり。
プロポーズされて断ったり。
告白されても逃げたり。

これは、
幸せになると、人から嫌われるのでは…
と、思ってしまっているから。

だけど、
幸せになることは、
ぜんぜん悪いことじゃない。

むしろ、
自分が幸せであるほど、
まわりの人にもやさしくなれる。
だから、
もう、失恋願望はすててみる。
どんどん、
好きな人とつきあってみる。

・ ・ ・ ・ ・ ・

理想の男の人と恋をしているのに、なぜか自分から別れてしまう…。そんな人の心の中には、「周囲から嫌われたくない」という心理が働いているのかもしれませんね。完全な成功を収めてしまうと、周囲の人から嫉妬されたり、非難されたりするのでは…そんな不安を抱いてしまう…。

「私は自分がいちばんほしいものは手にいれていない」という状態を自ら作ることで、周囲から好かれようという、複雑な心理状態なのかもしれません。

この心理は、アメリカの女性精神分析学者ホーナー(1885~1952年)が言うところの「成功恐怖」というもの。男性よりも、女性に多く見られる傾向だと言われています。

理想の彼からプロポーズされたのに断ったり。それほど好きではない人とつきあってみたり。上司から評価され、部署のリーダーに抜擢されたのに断ったり。趣味のピアノが認められてデビューできそうなのに辞退したり。

そう、成功恐怖は、恋愛だけではなく、仕事やプライベートなどさまざまなところで顔を出してくるのです。

このような心理状態になる人には、「お母さんが嫉妬深い人」なのかもしれません。自分の子どもが自分の望みをかなえようとすると、「あら、それはあまりいいことじゃないんじゃないの?」と、成功からひきずりおろそうとする母親…。

このような母親に育てられると、「母から嫌われないように生きなければ」という心理状態に陥りやすいのです。

そして、大人になってからも、周囲の目をとても気にするあまり、自分がいちばんほしいものを手にすると「嫌われてしまうのではないか」と思ってしまう傾向にあるのです。本当は、ちっともそんなことはないのに。

逆に、自分の望みをかなえ、「あー私はしあわせだな」と思える人の方が、周囲にもやさしく接することができ、のびのびと生きることができるのに…。どういうことかというと。

たとえば、あなたの周りに、毎日食べるものもなくて困っている人がいるとしますよね。そのとき、あなたも飢餓状態だったらどうでしょう?周囲の人に、積極的に自分の食べ物をあげることはできませんよね?

逆に、あなたが毎日食べるものに困っていなかったらどうでしょう?飢餓状態の人に、パンを一切れ、なんの躊躇もなくさしだすことができるのではないでしょうか。

心も、おんなじなのです。

自分がハッピーじゃないとき、周囲の人をハッピーにする余力はありません。自分がハッピーなら、周囲の人にハッピーをわける余裕ができるのです。

だから。

もしも、あなたの中に成功恐怖がひそんでいるとしたら。どうぞ、「自分の望みをかなえることは悪いことではない」ということを、思い出してみてくださいな。そして、「自分の望みをかなえればかなえるほど、周りの人にもやさしくできる」ということを、思い出してみてくださいな。

ハッピーから逃げることは、善ではありません。むしろ、生きることを否定することなのです。ハッピーになることは、悪ではありません。むしろ、善、なのです。

目の前に、あなたの望むハッピーがやってきたとき、ちょっと勇気をだして、手をのばしてみてください。そのハッピーを、充分に体感してください。あなたのハッピーを妬む人がいたら、その人の言葉を、聞き流す強さをもってください。

そうすれば、きっと、今よりもっともっと、いい女になれると思いますよ。

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※このコラムは、2004年頃に10000読者さまに配信していた安藤房子の原点でもあるメルマガ「恋マガジン」の内容をほぼそのまま掲載しています。

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