vol.65 100円ショップ的愛情表現

100円ショップが
成功したのは、
ターゲットを
ちゃんとしぼったから。

フツーの人たちだけにしぼって、
どんなモノを売ればいいかを
考えて、売ったから。

これがもしも、
お金持ちの人にも
いろんなものを
買ってほしいと思って
よくばっていたとしたら、
きっと
ターゲットをしぼるから、
そのターゲットに向けて、
自分のことをアピールできる。
自分の方を向いてって
アピールできる。

それは、ビジネスの世界だけの
話じゃない。
恋愛だっておなじこと。

誰かに
本当に好きになってほしかったら。
まずは誰かを、
本当に好きにならなくちゃ。
その人ひとりだけを、
真剣に好きにならなくちゃ。

・ ・ ・ ・ ・ ・

「本当に好きな人はどの人なのか、自分でもよくわからないんです」

複数の男の人と恋愛をしている女の人から、ときどき、そんな相談を受けることがあります。

自分が本当に好きな相手がわからない。そして、どの人がいったい、本当に自分を大事にしてくれるのかわからない。本当は、ひとりの人と大恋愛したいのに…。そんな迷路の中で悩む女の子たちの相談にお答えしながら、それって、もっともなことなんじゃないかな。と、思うときがあるんです。

どういうことかというとね。

恋のターゲットがわからないということは、どの人に対してどんな愛情表現をすればいいかわからない。それなら、誰かから真剣に愛されるわけないじゃない? ということなんです。

そして、それは恋愛だけの話じゃなくて、ビジネスの世界でも、おんなじなんですよね。

たとえば、100円ショップを例にしてみましょうか。100円ショップは、過去も今も、みんなに大人気ですよね。それは何故かというと、100円ショップに行けば、たいがいの雑貨が100円に手に入っちゃうから。

文房具、化粧品、CD、ノウハウ本…以前では考えられない値段のモノがガーッとお店に並んでいる。だからこそ、私たち庶民は、ワクワクしながら100円ショップを訪れるわけですよね?

では、100円ショップが、なぜこんなに安く、いろいろなモノを提供できるかというと、過去の流通業界の常識を破ったからです。100円ショップは、納品してくれるメーカーから100%返品なしですべてを買い取るという契約をするかわりに、メーカーから安い商品を納品してもらえているわけです。だから“品揃えが豊富でしかも安い”お店を実現することができたわけです。

そして、100円ショップが成功した裏側には、もうひとつ大きな理由があるんです。それは、商品のターゲットを明確にして、商品開発をしたことです。

これがもしも、100円ショップが「お金持ちの人にも買ってもらえるように、ちょっと高級感なスプーンを500円で売れるようにしよう」なんて考えていたとしたら、今頃100円ショップはどうなっていたでしょうか?

きっと、商品開発の過程は複雑になり、製造&流通コストもアップしていたでしょう。その割にお金持ちのお客さんにはあまり来店してもらえず、採算のあわないショップになっていたのではないでしょうか。

お金持ちの人たちは、どんな時代でも、スプーンひとつ買うために、百貨店の外商と呼ばれる営業マンを呼びつけ、一個何千円もするスプーンを購入しています。そして、お金持ちの人にとって、購入するときに大事なのは、商品が高級であることだけではありません。「一流店で買う満足感」を得られることが大事なのです。

つまり、100円ショップがどんなにがんばってお金持ち向けの商品開発をしたとしても、お金持ちが感動するようなサービスを提供することは最初から無理。100円ショップで、たとえどんなにいい商品500円で売っていたとしても、お金持ちの人は足を運んでくれないのです。

100円ショップは、ターゲットを明確にしていたからこそ、ビジネスが成功したんです。ユニクロも100円ショップと同様です。ターゲットを庶民に絞り、徹底的に安い商品だけを販売したから、成功したんです。

たとえば、ユニクロが、「高級なTシャツを1万円で販売する」と告知したとしても、私たちは、まず買いには行きません。「1万円払うならイタリアのあのブランドのTシャツを買っちゃおう」なんて思うのではないでしょうか。

では、逆に、高級ブランドのエルメスが、1万円のスーツを販売したら売れるでしょうか。「あのエルメスのスーツが1万円!!」と、しばらくは、話題になるでしょう。しかし、すこし時間がたったらどうなるでしょう?

もともとのエルメスの顧客たちはエルメスの高級なイメージが崩れてしまったことに不満を感じ、次第に離れていってしまうでしょう。かといって、「エルメスの1万円スーツ」を購入した人が、エルメスの正規価格でコンスタントに購入することは、経済的に無理でしょう。

つまり、ターゲットを絞り、そのターゲットに対してのブランド力をいかに高めていくかが、ビジネスの世界ではとても大事なことなわけです。このことは、恋愛でもおんなじことが言えるんです。

もしもあなたが、恋のターゲットを決めかねて、いろんな男の人とつきあっているとしたら。相手にどんなふうにアプローチしていいのかがわかりません。Aさんに対してはセレブ風を装い、Bさんに対しては美大生風を装い、Cさんに対しては知的な社会人を演じなくてはいけなくなります。

「相手によって態度をかえていく」

これって、うまくできそうな気がしてしまいますが、実はそれほど簡単なことではないんです。男だって馬鹿ではありません。たとえ、本人が「上手に演じているつもり」だとしても、いつか、「この人は、自分だけを思ってくれているわけじゃないんだな」と、感づいてしまうわけです。

そして、男の人は、女の人以上に、「自分だけを見つめてくれる人」じゃないと、本気になれない動物。
誰にでも好かれたい。そう思っているあいだは、誰にとってのオンリーワンにもナンバーワンにもなれない。誰にとっても「ニセモノの恋人」で終わってしまう。

真剣な恋愛をしたいのなら、まずは自分が真剣にならなくちゃ。まずは、ターゲットをひとりに絞って、そのターゲットに向けて自分の魅力のブランディングしていかないと。それこそが、本当にひとりの人から愛されるために必要なことなんじゃないかな。

あなたは100円ショップ? それともユニクロ? エルメス? どんな自分になりたいのかを、よ~く考えてみてね。

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※このコラムは、2004年頃に10000読者さまに配信していた安藤房子の原点でもあるメルマガ「恋マガジン」の内容をほぼそのまま掲載しています。

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