もっと美人だったら。
そう思うときがある。
テレビの女優みたいに、
街ですれちがった人みたいに、
もっと美人だったらって。
だけど、誰でも、
コンプレックスを持っている。
テレビの女優や街の人だって、
コンプレックスを持っている。
そのコンプレックスを、
エネルギーにして努力をする。
そうして美人は作られていく。
顔の造りは変えられない。
骨格もあまり変わらない。
脚の長さも変わらない。
だけど、ひとつだけ、
美人になる方法がある。
それは、自分を好きになること。
自分を好きになると、
考え方や話し方が変わる。
趣味が変わる。
お化粧が変わる。
服装が変わる。
そうして、すこしずつ、
自分に自信を持ち始める。
そして、気づくと、
表情が変わってくる。
もっと美人だったら。
そう思うのは簡単。
だけど、
もっと美人になるには、
自分を好きにならなくちゃ。
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ちょっと前に、数人でお酒を飲んでいたときのこと。
一緒にいた女の人が、突然ぽろぽろ泣き出して、こう言いました。
「どうせ女は顔なのよ。顔がよくないと何もかもうまくいかないのよ」って。
不思議だったのは、そのとき一緒にいた人たちの誰も、外見のことを話題にしていな かったということ。泣いていた彼女はきっと、今までの哀しい恋の出来事を思い出していたのでしょう。彼女の隣りに座っていた男の子が、
「元気出して」
と言っても、ずっと、わんわん泣き続けるばかりでした。
私から見たら、その女の人はとてもチャーミング。
大きな目で、やさしい声で、やわらかい語り口で。
その夜着ていたオーガンジーのシャツも、とってもお洒落で似合っていたのに。
だけど彼女は、「どうせ私はだめなのよ」と、泣くばかり。
それを心配した男のコは、
「そんなことないよ。女は顔じゃないよ。心だよ」
と、励まし始めました。私はその瞬間、”まずい”と思いました。
だって、男のコの言葉は、
「君はかわいいわけではないけれど、そんなの気にしなくていいんだよ」
っていう意味にもとれるんですもの。
案の定、彼女は、
「そんな慰めはいらないわよ」
と言うと、ますます大きな声で泣き出してしまったのです。
もうひとつ言えば、男の子が言った内容には誤りがありました。
「女は顔じゃないよ。心だよ」
というのは間違いなのです。
先週もお伝えしたように、人にとって、外観はとても大事なアピールの要素です。
人は、自分の好みの外観の人を好きになるものなのです。でも、だからといって、「絶世の美女じゃないともてない」というわけではありません。
それよりもっと大事なのは、「自分なりに美しくなること」なのです。
では、自分なりに美しくなるにはどうすればいいかというと、
「自分のいいところを認めながら、自分を好きになること」。
これができれば、自分のいいところを伸ばす努力もできるようになります。
日常生活も変わってきます。そうして表情も美しくなっていきます。
そして、気づくと、とても美しい人になっていると思うのです。
もともとコンプレックスのない人なんて、ほとんどいません。
コンプレックスをプラスのエネルギーに変えていくことが大事なのです。
誰にでも長所はあります。
自分のことを「神経質」と思ったときは、「きめ細やかな性格なんだな」と考えなおす。
「歯並びが悪いな」と思ったときは、「この八重歯もかわいいじゃない?」と思いなおす。
そして、自分の長所を紙に書いていくと、だんだん自分の存在を認められるようになります。性格も外観も、まずは、自分で自分のことを思いっきり愛してあげないと。
あの日泣いていた彼女は、自分を愛せなくなっていたのでしょう。
だから、「どうせ私なんか…」と言いながら、ずっと泣いていたのでしょう。
泣いていた彼女も、とてもチャーミングでした。
だけど、もし彼女が自分の良さを認めるようになったら。
もし彼女が、「どうせ私なんか」と言わなくなったら。
もっと美人になるはずです。
まずは自分を好きになること。
それが、美人顔になるための第1歩なのです。
※このコラムはほぼ「恋マガジン」配信当時の内容です。