vol.39美人になる方法

もっと美人だったら。
そう思うときがある。
テレビの女優みたいに、
街ですれちがった人みたいに、
もっと美人だったらって。

だけど、誰でも、
コンプレックスを持っている。
テレビの女優や街の人だって、
コンプレックスを持っている。
そのコンプレックスを、
エネルギーにして努力をする。
そうして美人は作られていく。

顔の造りは変えられない。
骨格もあまり変わらない。
脚の長さも変わらない。
だけど、ひとつだけ、
美人になる方法がある。
それは、自分を好きになること。

自分を好きになると、
考え方や話し方が変わる。
趣味が変わる。
お化粧が変わる。
服装が変わる。

そうして、すこしずつ、
自分に自信を持ち始める。
そして、気づくと、
表情が変わってくる。

もっと美人だったら。
そう思うのは簡単。
だけど、
もっと美人になるには、
自分を好きにならなくちゃ。

・ ・ ・ ・ ・ ・

ちょっと前に、数人でお酒を飲んでいたときのこと。
一緒にいた女の人が、突然ぽろぽろ泣き出して、こう言いました。
「どうせ女は顔なのよ。顔がよくないと何もかもうまくいかないのよ」って。

不思議だったのは、そのとき一緒にいた人たちの誰も、外見のことを話題にしていな かったということ。泣いていた彼女はきっと、今までの哀しい恋の出来事を思い出していたのでしょう。彼女の隣りに座っていた男の子が、
「元気出して」
と言っても、ずっと、わんわん泣き続けるばかりでした。

私から見たら、その女の人はとてもチャーミング。
大きな目で、やさしい声で、やわらかい語り口で。
その夜着ていたオーガンジーのシャツも、とってもお洒落で似合っていたのに。
だけど彼女は、「どうせ私はだめなのよ」と、泣くばかり。

それを心配した男のコは、
「そんなことないよ。女は顔じゃないよ。心だよ」
と、励まし始めました。私はその瞬間、”まずい”と思いました。
だって、男のコの言葉は、
「君はかわいいわけではないけれど、そんなの気にしなくていいんだよ」
っていう意味にもとれるんですもの。

案の定、彼女は、
「そんな慰めはいらないわよ」
と言うと、ますます大きな声で泣き出してしまったのです。

もうひとつ言えば、男の子が言った内容には誤りがありました。
「女は顔じゃないよ。心だよ」
というのは間違いなのです。

先週もお伝えしたように、人にとって、外観はとても大事なアピールの要素です。
人は、自分の好みの外観の人を好きになるものなのです。でも、だからといって、「絶世の美女じゃないともてない」というわけではありません。
それよりもっと大事なのは、「自分なりに美しくなること」なのです。

では、自分なりに美しくなるにはどうすればいいかというと、
「自分のいいところを認めながら、自分を好きになること」。
これができれば、自分のいいところを伸ばす努力もできるようになります。
日常生活も変わってきます。そうして表情も美しくなっていきます。
そして、気づくと、とても美しい人になっていると思うのです。

もともとコンプレックスのない人なんて、ほとんどいません。
コンプレックスをプラスのエネルギーに変えていくことが大事なのです。

誰にでも長所はあります。
自分のことを「神経質」と思ったときは、「きめ細やかな性格なんだな」と考えなおす。
「歯並びが悪いな」と思ったときは、「この八重歯もかわいいじゃない?」と思いなおす。
そして、自分の長所を紙に書いていくと、だんだん自分の存在を認められるようになります。性格も外観も、まずは、自分で自分のことを思いっきり愛してあげないと。

あの日泣いていた彼女は、自分を愛せなくなっていたのでしょう。
だから、「どうせ私なんか…」と言いながら、ずっと泣いていたのでしょう。

泣いていた彼女も、とてもチャーミングでした。
だけど、もし彼女が自分の良さを認めるようになったら。
もし彼女が、「どうせ私なんか」と言わなくなったら。
もっと美人になるはずです。
まずは自分を好きになること。
それが、美人顔になるための第1歩なのです。

🌸 🌸 🌸

※このコラムはほぼ「恋マガジン」配信当時の内容です。

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