「レディジェーン」ラストデイの事件。ありがとう、恋が生まれては消えた場所:2025年4月19日㈯

こんにちは、アンジーです。

先週の日曜日。4月13日は、どうしても行きたい場所がありました。なので、イベントのお仕事を終えてから、ひとりで電車移動。下北沢へ。なぜなら……

松田優作が愛した伝説のバー「レディジェーン」の閉店日だったからです。

閉店を知り、2月に一度訪れ、その様子は3月3日の日記にも書きました。でも、最後にもう一度、行きたかった。できれば、こないだ飲みそびれたギムレットを飲みたかった。

閉店日なんてこんでいるにきまってる。入れないかもしれない。でも、こないだもらい忘れたコースターを記念にもらうことはできないだろうか。取り壊しが決まっているというお店の入った建物の写真も、もう少しちゃんと撮っておきたい。

そんな思いでした。

お店に着いたのは20時過ぎ。お店の前にはひとりの紳士がいらっしゃいました。混んでいて、今日は予約していないと入れないんだってさ、と怒ってる。

え、そうなのか、予約ができたのか……事前によくネットで「レディジェーン」とググってはいたけれど、それは知らなかった。

予約していないとダメなんだってさ、入ってごらんよ。

うながされて、まあ私も、一度は中に入って店主に訊いてみようと。すると、こないだもいらしたバーテンさんと、その日は女子のアシスタントさんが、確か2名いらして、そんな光景を見るのははじめてで、ああ、混むのを予測してのことかなと思った。

バーテンさんが、「いっぱいなんですよね。今日は予約制で。予約ってことになりまして……」閉店が近くなり混んできてそうなった……ということを話されていたと思う。

そうだったのか、それなら仕方ないかなと思い、店内をグルリ見渡すと、テレビカメラが入っていた。ああ、そうか。かなり有名な方たちに愛されたお店だものね、今夜はそういう日なのかなと、合点がいった。

しかし、このお店ではよくあることなのだが、レジ横の大人数が座れる席は完全に空いている。いつも「予約が入っているので……」と、通していただけない席だ。

その席が本当は空いているとしても、予約制であろうがなかろうが、店主がこうすると決めた日なのだから、私たちは帰らなければならない。「レディジェーン」とはそういうお店なのだ。

店内にどんな方がいらしたのかまでは見なかったけれど……というか、まじまじと見ては失礼な気がしたので敢えて見ないようにしたけど、これはもう、これまでありがとうございましたとお礼を言って退散するのがマナーだなと思った。

だけど……お店の前で怒っていた男性は、今度はなぜ私の後ろにピッタリくっついてきてワーワー怒り散らしている。しかも、まるで私の知り合いかのように「困るよなあ? なあ? こんな店だったかよなあ?」なんて言ってくる。

迷惑……。

私は、レジのところに立つ店主に、ジェスチャーで、この方と私は別ですとやんわり手で男性を制しながら、「コースターだけいただけませんか?」とお願いしてみたら、「コースターだけで……?」と、ひとことおっしゃった。

もしかしたらあの時、店主は、私がその男性の連れではないことがわかり、私を席に案内してくださるのかもしれない。そう思った。すぐにはコースターを出さずに、もう一度「コースターで……?」とおっしゃっていた気がする。

このままいれば、私だけ通してくれるかもしれない。飲みそびれていたギムレットを飲めるかもしれない。だけど、そうすれば、この男性が店内に踏みとどまり、ますます喚き散らすことになる。なんで俺は座れないんだと言って暴れるだろう……そんな思いが一瞬のうちによぎって、「はい、コースターだけ」と、私は言った、キッパリ言った。

そうしたら、くださった。

 

店主にもバーテンさんにも、ゆっくりお礼を言いたかったけれど、男性はまだ後ろでワーワー言っている。それがなんとも嫌で、このまま店内を乱し続けそうで、私はもうここを去るしかないなと思い、店主とバーテンさんにはそそくさと「ありがとうございました」とお礼を言い。外に出た。騒ぐ男性は、まだ店内にいた。

お店の前には男性と女性がひとりずつ。お客さん? 違うみたい……どうやらこのお店の映画を作ろうとしていらっしゃる方たちで、店内のカメラの方と仲間らしかった。ひとこと、ふたこと話していると、店内で騒いでいた例の男性が、店主から「出ていけ」と怒鳴られて外に出てきて、またもや、まるで私と仲間のように「ひどいもんだよな」と話しかけてくる。ああやだ……話しかけてこないで。私、完全にこの人の知り合いに思われてしまう……

案の定、映画制作の男性と女性は、店の後ろにある駐車場のほうへと去っていこうとした。私はひとり、話しかけてくる男性をふりきるようにして、男女を駐車場のほうへと追いかけた。

「すみません、たすけてください」

すると、おふたりとも、やはり、私と騒いでいる男性は知人どうしだと思ったと。違うんです、違うんです……。そう話すと、理解してくれて、しばしお話することができた。彼らはどうやら、ちょうど店内に入っているカメラの方と一緒に、「レディジェーン」を映画にしようかとしている方たちだった。

そこで私は、かつてこのお店に通っていたこと。このお店に連れてきてくれた相手と一度目の結婚をしたこと。その結婚のときの保証人のひとりは、かつての「レディ・ジェーン」のバーテンさんだったこと、そのバーテンさんと久しぶりに話したいと思った数年前に、今のバーテンさんが連絡先を教えてくれて、かつてのバーテンさんと連絡がとれたこと……

そんな話をした。

たぶん、5分か10分くらい、駐車場にいたと思う。そのあいだに、中にいたバーテンさんが用事があったようで駐車場のほうにやってきた。そしてやっぱり、例の怒っている男性と私が知り合いだと勘違いをしていたらしい。なので、違います、違いますと、ここでも弁明。バーテンさんと映画の男女さんと会話をしていると、そこに……例の男性がワーワー言いながら追いかけてきた。どうやらいわくつきの男性らしく、バーテンさんは店内に逃げた。……映画なおふたりと私は逃げた。なんで逃げなきゃいけないんだろうと思いながら、逃げた。

たぶんその男性。私たちだけがお店に入れると勘違いでもしたのかもしれない。すこしたつと気持ちがおちついたのか、追いかけてはこなくなった。

私はもう、せめて外観を存分に撮影したかったのだけど、なんせ男性はずっと店の前にいる。途中から、店の道向かいに移動していて、私は一度、写真を撮ろうと近くまで行ったのだけど、なんともずっとこっちを見ていて、その威圧感に圧倒されてしまい、断念してしまった。

そして、駐車場にいらした映画関係者の男女のおふたりに「もう……諦めます、帰りますね」と話し、その場をあとにすることにした。

ラストデイ。こんなことになるなんて。思いもしなかった。私はただ、かつての大切な思い出の場所に、ありがとうの気持ちだけだったのに。なのに、私が「レディジェーン」店内にいた最後の時間は、変な見知らぬ、怒り狂っている男性との時間になってしまった。

男性は、寡黙な店主を怒らせた。あの店主に大きな声で「出てけ」と言わせるなんて、なんてマナーのない男性だったのだろう。その瞬間には、私はもうお店の外に出いていたので、この目で見ることはなかった。見なくて済んだのは、不幸中の幸いだった。だって、それが最後のビジュアルだったら、もっと悲しかった。

店主だって、残念だったはずだ。最終日。大切な人たちと、穏やかに過ごしたかったはずだ。最悪のお気持ちだったことと思う。

結局、この日、私が撮影できた写真は、到着してからすぐの三枚だけになってしまった。そのうちの一枚がこれ。

ヘンな男性がワーワー話す中、ひとまず撮った写真だ。何とも複雑なラストになってしまった。

あれから一週間経つ。今朝、レディジェーンでぐぐると、松田優作の元奥さんが、やはり最終日にはここにいらしていたらしい。ああ……そういえば、店内をぐるりと見渡したときに、似ている人がいたような、いなかったような……。

いろいろあった最終日だけど、せめて心の中の大切な記憶だけは守りたい。それに、コースターをもらえただけでもよかったのだ。そういえば、2月に訪れたときには、バーテンさんから名刺ももらえたのだった。そのときに、かつてのバーテンさんの現在の連絡先と居場所を数年前に電話で教えていただいたことも話せたし、「ああ……あの時の電話の……」なんてことも話せて、とてもいい時間だった。

新しい、いい思い出もある。だから、あのヘンな出来事は忘れよう。

いや……忘れられないかも。忘れられないけれど、それもひっくるめての、「レディジェーン」の思い出なのかもね。あの男性も、私とおなじ「レディ・ジェーン」を愛した男性なのだ。表現方法がいいとは思えなかったけれど、きっと、入りたくてどうしようもなくて、でも入れなくて怒り狂ってしまっただけだったのだ。

さよならレディジェーン。今度こそ最後です。時々、目標を見失いながらも疾走することしかできなかった、あの頃。彩ってくれて、ありがとう。映画ができるのが、楽しみです。

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