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 恋に効く書籍  - Love Book - vol.9  …by アン ( 2008/11/04 更新 )


■ 「あなたを、ほんとに、好きだった。」(著)内藤みか   by アン




この小説は、学生寮で過ごす加季の恋物語。
2004年に単行本として出版された本が文庫化されたようです。
読みはじめてすぐに、胸がズキズキ……。
誰でも一度は経験したことのある、せつない恋が、
この小説にはギュッとつまっています。

小説の舞台となっているのは1993年。
この年は、私のプライベートでもいろんなことが起きた年でした。
それもあって、ついついこの小説に引き込まれてしまうのかも
しれません。

当時の私は、一度目の結婚と離婚に揺れていた頃。
あのころのことを思い出すと、今でも
胸がひりひりしてしまいます。
どうしようもない、人と人との交わり。
止めたくても止められない、人と人との終わり。
それを経験したのが、あの結婚生活だったからなのかもしれません。

でも不思議と、こうしてあの頃のことを思い出すのが
嫌ではなかったりします。
逆に、ああいうせつなさを忘れたくないなあ……などと、
ときどき思い返したくなるほどです。

あの頃は、バブル崩壊後とはいえ、きらきらした時代でした。
私は、六本木にある広告の会社で働いていて、
華やかさと挫折感の狭間でうろうろしていました。

周囲は華やか。
自分だけがダメな人間で、何もうまくいかない人間のように
感じていました。
恋は、一途ならうまくいくわけではないことを、身をもって、
知りました。

そういう、恋の「どうしようもなさ」が、この小説にはいっぱい
つまっていて、主人公の加季が他人とは思えなかったりします。
そして加季は教えてくれます。
私の過去の「ひりひりするような恋」は、決してムダではなかった
と。

恋って、つらいこともいっぱいあるけれど、
だけど、だから楽しいこともあったりする。
一生忘れられないような記憶ができていく……。

内藤みかさんの小説は、いつもそんな「せつなさ」を
巧みに描いています。
だから読んでいると、人の心の奥の奥にある
どうしようもない気持ちというものを思い出すのです。

単行本ですでに読んだ方も、この文庫版だけに収録されている
「3年後の加季」の物語をぜひ読んでみてほしいです。
きっと、恋する勇気が出るはずですから。


【「あなたを、ほんとに、好きだった。」】
 https://www.amazon.co.jp/dp/4840124604


【内藤みかさんのブログ】
 https://plaza.rakuten.co.jp/micanaitoh/


 

 
   
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