▼手段としてのやさしさ
あなたは、なにかの目的を達成するために
男性にやさしくしたことがありますか?
中には、ハッキリと
「○○のために優しくしてるよ」
と言い切る人もいるかも知れませんね。
私のところにいただくご相談の中にも、
そういう方がたくさんいらっしゃいます。
たとえば、おいしいディナーをごちそうしてほしいから、
彼に笑顔をふりまく人。
あのブランドの新作のバッグがほしいからと、
彼に料理を作ってふるまう人。
そんなふうに、彼に対するやさしさが、
何かを得るための手段になっている人は
意外と多いようです。
▼手段は恋愛感情?
では、こうした“手段としてのやさしさ”は
“純粋な恋愛感情”かというと、
そう言えない部分もあると思います。
目的だけが強すぎて、恋愛というよりも、
彼に対する“やさしさ”と、その見返りとしてもらう“何か”が
取引のようになってしまっているケースが
結構多いのです。
では、彼になにかしてほしくてやさしくするのが
すべてよくないかというと、
そうとも言い切れないから、ことは複雑です。
というのも、恋愛初期段階では
手段として彼にやさしくしていた人でも、
彼とのつきあいを深めていく中で、
やさしくすること自体が楽しくなり、
彼にやさしくすること自体が目的になることも
あるからです。
このような状態を、心理学的に機能的自律と言います。
機能的自律を果たした恋愛関係というのは、
とても深い恋愛関係と言えます。
相手の存在そのものを愛したいから愛する。
そんな状態の愛です。
▼手段を目的に変える方法
では、どうすれば、手段が目的に変わっていくのでしょう。
まずは、自分の手段をあまり否定しないことです。
「あ、今、彼から○○をしてほしいから、
彼にやさしくしているんだな」
と自分で思ったとしても、
そういう自分を否定したりしないことです。
むしろ、
「彼にこんなにやさしくできる私はいい女」
と思うくらい前向きでいていいのです。
そして、彼にひとつやさしくしたら、
ひとつ自分をほめるようにするのです。
「私は、えらい」
と、自分で自分に言い聞かせてみる。
あなたが彼にやさしくした結果、
彼から与えてほしいと思っていたものを
与えてもらえても、そうでなくても、
自分で自分をほめるのです。
そうしていくうちに、だんだん、
彼にやさしくすること自体が楽しくなるはずです。
▼生産的人格と消費的人格
ちなみに、心理学者のエーリッヒ・フロムによれば、
人間は“生産的人格”と“消費的人格”に分類
されるそうです。
生産的人格とは、人になにかをしてあげること、
与えてあげること自体が自分の喜びになるタイプ。
いわゆる、アガペという愛し方を自然にできる
タイプのことです。
(※アガペについて)
消費的人格とは、他人に与えるのが好きではないという
人格のことです。
このタイプの人の場合には、
たとえ目的のためにだとしても、他人になにかを
与えるのは嫌だという人もいるかもしれませんね。
あなたと彼は、どちらの人格ですか?
どちらの人格にせよ、
与える自分をほめるくせがつけば、今よりもっと
与える楽しさを感じるようになるはずです。
見返りがない愛を楽しもうという、心の余裕が生まれるはずです。
見返りを求めない愛は、穏やかです。
他人に対していちいちいらだちを感じずにすみます。
お互いの関係がスムースになります。
そして、ふたりの愛が、深まっていくはずです。
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