「結婚て、どんな意味があるんだろう。入籍なんてしなくても、二人が楽しく暮らせればそれでいいと思いませんか?」
そう言う恵子さん(36歳)は×一。同じく×一で2歳年上の彼と同居して3年経つが、まったく結婚願望はない。
「離婚を経験した人には、そういう人が多いんじゃないかな。ほら、入籍したって、ダメになる時はダメになるってわかっているから」
恵子さんが、勤めていた企画会社の同僚と結婚したのは27歳の時だった。中途入社してきた8歳年上の彼に一目ぼれ。会社帰りにオシャレな焼き鳥屋さんに誘われたのがきっかけで、すぐに同棲生活を始めた。複数の女性から彼宛てに毎晩電話がかかってきたのだが、彼の「もう別れるから」という言葉を信じた。強引と言えるほどぐいぐいひっぱってくれる彼に、どんどん引きこまれていった。結婚しようと言い出したのは、彼の方だった。
「同棲からわずか1週間でプロポーズされて、その10日後には入籍したんです。彼、×一で30代半ばだったから、結婚をあせっていたみたいなんです。でも…ものすごく好きだったのに、半年でダメになっちゃった(笑)。彼、元の恋人のところへ戻っていっちゃったんです。恵子は何ひとつ悪くない、僕のわがままだからって。もともと結婚したかったのは元の恋人だったみたい」
ずっと一緒にいたかったのに、こんなにあっさりと終わってしまうなんて。恵子さんは、それまでの恋では経験したことがないほどのショックを感じたと言う。
「結婚なんて、ほんとうに紙切れ一枚なんですね。なのに、入籍しちゃうと、その紙切れに頼ってしまう自分がいる。でも、本当はそうじゃない。紙切れで人間関係なんて約束できるわけがないんです。だから、決めたの。もう、2度と結婚はしないって。結婚さえしなければ"ずっと一緒"なんていう期待を相手にしなくてもすむでしょ。今の彼は、私とまったくおんなじ考え方なの。もし入籍するとしたら、出産する時ですね。戸籍の問題で子供が差別されたら可愛そうだから。でも、親が結婚していなくても子供が差別されない世の中になるなら、ずっと結婚はしないでしょうね」
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