M君と出会ったのは、2ヵ月前のある飲み会。
10名近い人が参加していたので、彼とはほとんど話さないまま、お開きとなってしまった。店から出たところで、M君が話しかけてくれた。
「ねぇ、メールアドレス教えてくれない?」
口元からこぼれる白い歯がまぶしい。年齢は27歳。長年、空手をやっていたらしく、私好みのスリムで筋肉質の身体をしている。二つ返事でメールアドレスを教えた。その夜から毎日のようにメール交換をした。
メールの内容は、主に子育て相談。M君は塾の講師をしており、子供たちに対する愛情ははかりしれないものがある。半月後、渋谷でランチデートをした。
体調が悪い私を気遣って、薬膳料理の店を選んでくれた。食事の後、車で自宅まで送ってくれた。彼は子供と会ってみたいと言ってくれた。
長男は「どうしたら強くなれるか」について、矢継ぎ早に質問していた。
帰宅後、次男に言われた。「M君ってさわやかでいい人だよね。お母さん、M君と付き合えば?」でも、私の口から出た言葉は……。「いや〜、無理だよ。だってM君に悪いもん」であった。
M君はデート中、「年齢差なんて気にしなくていいじゃん」と言ってくれたが、やっぱり私は彼に対して、積極的になることができない。これは引け目なのだろうか。バツイチであるとか、年齢を重ねているとか、何かしらの要素を持っている人であれば、積極的になれたかもしれない。
しかし、M君は何も人生の傷を負っていないきれいな身なのだ。もっと若い年下の女の子と恋愛して、家庭を持ち、子供を育てる。そうすべき人なのだ。
だから私はこれ以上、M君には深入りしないことにした。ほんとはちゃんと付き合ってもらいたいんだけど……。
真剣に恋をすれば騙されて、
完璧な相手だと思ったら子供嫌いで、
若い年下くんには遠慮して。
だから私はもう恋はしない。
いや、恋ができない不器用な女なのだ。
連載をお読みいただいてありがとうございました。
プライベートなことを書くのはちょっと勇気が必要でした。でも、自分の恋愛に対する考えが整理できていい機会となりました。
「また結婚したいの?」と聞かれれば、「したくない」と答えます。
なぜならば、今の生活ペースを乱したくないから。
夜中から朝にかけて仕事をしている今が一番楽しい。
なのに、誰かと出会うと、どうしても恋愛のその先、結婚を意識してしまいます。
結局、結婚願望ありありなのかな〜と思います。
恋愛と結婚を切り離して考えるのは難しいことですね。
特定な人と付き合うからこんな考えが起きてくる。だから、これからは複数の恋人と「分散恋愛」するのが一番お利口な方法なのかも……なんて最近考えています。
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