DV、ドメスティック・バイオレンスとは「家庭内暴力」として知られているが、
一般的には「親密な関係にある(あった)異性からふるわれる暴力」を言う。
配偶者間だけではなく、婚約者や同姓相手、恋人間でも暴力が介在すればDVと認識される。しかし、親しい男女間の暴力というだけではDVの本質をついているとは言えない。
実際にDVの被害を受けているのは圧倒的に女性が多く、中でも夫から妻への暴力が大半を占めている。
●結婚経験のある女性の暴力を受けた経験の有無(1163人中)
命の危険を感じるくらいの暴行を受けたことがある………4.6%
医師の治療が必要となる程度の暴行を受けたことがある………4.0%
医師の治療が必要とならない程度の暴行を受けたことがある………14.1%
あなたが嫌がっているのに性的な行為を強要されたことがある……17.7%
※平成12年2月総理府 「男女間における暴力に関する調査」より
●加害者との関係別相談件数(総数11354人中)
配偶者………9129人
内縁・恋人………916人
不明………806人
離婚済み………503人
※警視庁調べより
DVの実態は「女性に対する暴力」である。
肉体的、経済的、社会的地位、発言力など様々な面で優位にある男性から、弱い立場にある女性へと向けられた性差別という社会的な側面もあるが、被害を受ける女性に対して国や自治体が保護するなどの対策は取られてこなかった。
しかしこれまで「夫婦喧嘩」として法も国も立ち入ることのできなかった「家庭内暴力」が犯罪行為と認められ、被害に遭う女性たちの人権を守るため、DV防止法が設定された。
それによって国や地方公共団体に対して、暴力を防止し、被害者を保護する責任があることが明確にされた。
しかしDV防止法が実態に即したかというと、必ずしもそうではない。
DVには身体的暴力以外にも、精神的暴力や性的暴力などがあり、それらが
複合的に行われているが、DV防止法では「身体的暴力」しか対象にならない。
しかも保護命令を申し立てられるのは夫婦か内縁関係のものだけであり、離婚した関係の場合は対象外となる。
また、DV防止法が試行されたにもかかわらず、受け入れるセンターなどの設備が整っていないという現状もある。
DV防止法は制定から3年後に見直しを予定しているが、今後は実態に即した支援体制を整えていく必要があるようだ。
※参考資料:「ベビーエイジ」 2002/12/1
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