法制審議会の人事訴訟法分科会が離婚訴訟をめぐる裁判制度見直しの原案を固めた。現在の離婚訴訟の仕組みは「双方の話し合いによる協議離婚の成立」「家裁での調停・審判」それでも決着がつかなければ地裁で争うという、煩雑な区分けがされているが、今回の原案ではそうした訴訟の家裁での一括しての審理が義務づけられ、同じような立証を別々の法廷でしなくて済む利点があげられる。
また、心理学などの専門分野をもつ家裁調査員が関与する場が広がり、たとえば親権者を決める場合、調査官が子どもに直接会って話しを聞くなどの細かい対応が可能になる。
現行法では裁判所は結婚や養子縁組を維持する方向でしか証拠調べができないが、「関係をつなぎとめることばかりが良いわけではない」という声が増えているのを踏まえ、離婚や離縁の方向での証拠調べもできるようにする。
厚生労働省の人口動態統計によると、01年の離婚件数は約28万6000。このうち訴訟にまで持ち込まれるケースは1%程度にとどまる。だがその動向は、「すそ野」にあたる家裁の審判や当事者同士の話し合いに影響を及ぼしており、今回の抜本見直しは多くの関心を集めそうだ。
※参考資料:朝日新聞(2002/7/9)
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