「最近、いい男がいないのよねぇ」
ときどき、そんな話を聞くことがあるんです。言うのは決まって、彼のいない人。
いい男がいたら恋をしたい。だけど自分のまわりにはいい男がいない。だから恋ができない。これは、私が悪いわけじゃなくて、環境がちょっと悪いだけなのよ…。
そんなふうに思っている人が多いようです。
いい男がいないから、恋ができない。
本当にそうなのでしょうか? 私は、ちょっと違うような気がするのです。
「いい男がいない」という人には、理想が高い人が多いように思います。「こんな男の人とつきあいたい」という理想通りの男の人とめぐりあえず、恋ができない状態になっているのではないでしょうか。
理想が高い人は、実は、自分でも「ほんとうの理想」がわかっていない場合が多いようです。自分にとって何が大事かがわからない。だから、どんな男の人とつきあえば楽しいのかがわからない。その結果、とりあえず、「こんな人とつきあったらよさそう」という理想を掲げてしまうのです。たとえば、「優しくてお金持ちで浮気をしない人とつきあいたい」とか、
「高学歴の弁護士かお医者さんがいいわ」とか、
「背が高くてかっこいい人が好き」とか、
山ほどの理想を掲げ、そのすべてをそなえている男の人を追い求めてしまっているのです。
ところが、現実社会には、すべての理想をかなえてくれる男の人なんているわけがありません。だから、たまに男の人とデートをしてみても、ちょっとしたことに不満を持って別れてしまう。そして、
「最近、いい男がいないわよねぇ」
と、つぶやくことになってしまうのです。
これは、心理学用語でいうところの「理想我」(アイデアライズドセルフ)にとらわれているのです。
もちろん、理想を持つこと自体が悪いわけじゃありません。誰にでも「自分はこうありたい」という理想があると思います。だけど、あまりにたくさんの高い理想を掲げてしまうと、現実とのギャップが大きすぎて、現実世界で恋ができなくなってしまうのです。
“いい男がいない症候群”の人には、「自分が望む男の人ってどんな人?」ということをもういちど考えてみて欲しいのです。きっと、たくさんの理想の中には“捨ててもいい理想”もあれば、“ゆずれない理想”もあると思うのです。
“ゆずれない理想”がはっきりすれば、それ以外のことには寛容になります。
好きな人をみつけやすくなり、また、相手の欠点も含めて受容できるようになります。そこから、素敵な恋がスタートするのではないかと思うのです。
では、“ゆずれない理想”を見つけるにはどうすればいいでしょうか?
とても簡単な方法があります。まずは思いつくまま、理想の男性像を紙に書いてみてください。誠実な人、やさしい人、高学歴の人、年に
2回は海外旅行に連れていってくれる人…ありとあらゆる理想の男性像を書きつくしてください。そして、ひとつひとつの理想を見ながら、“捨ててもいい理想”がないか考えてみてください。
考えているうちに、
「年に2回の海外旅行は理想からはずしてもいいかな」とか、
「高学歴じゃなくてもいいかな」とか、
捨ててもいい理想が見えてくると思います。それを、ひとつずつペンで塗りつぶしていきます。そうすると最後に、いくつかの“どうしてもゆずれない理想”だけが残り、自分の好みの男性像がはっきりと浮かび上がってくるのです。
さて、“ゆずれない理想”がはっきりしたところで、周囲の男の人と接してみてください。もしかしたら、今まではちっとも魅力を感じなかった会社の同僚に好意を持つようになるかもしれません。よく行くカフェのボーイに恋をするかもしれません。合コンやパーティーなどに行けば、これまでよりも、自分とぴったり合う人をみつけやすくなるはずです。
そして、もう、
「最近、いい男がいないのよねぇ」
なんてつぶやかなくてすむようになるはずです。
|